『模倣犯』読了(ネタばれあり個人の責任で読まれたし)

akrh2010-01-17

模倣犯』(宮部みゆき)読了。
文庫で5巻。この人の小説は『理由』以来である。
文体に特徴はないが、スタイルはすこぶる特徴がある。すなわち、饒舌と長口上。
つまり、この小説に込められたメッセージは1冊に凝縮するのが妥当だ。連載3年とか、加筆2年とかにはさして意味はない。
長編作家というのは難しい。僕の知る長編作家とは船戸与一宮部みゆきということになるのかもしれないが、宮部みゆきは枝葉末節的なエピソードでも数ページは費やす。取るに足らない端役を描くのに生い立ちから説き起こさんんばかりというのはどうか。
楽しんだんだろう、いいじゃないか、というのはナシだ。
5巻の9割5分をそのように進行させていながら、それでいてラスト5分での異常な端折り方。
それと種明かしが、追い詰められての真犯人の告白って安直だと思いますよ。
最大の難敵が不条理にも大急ぎで自滅していくのを読まされる身にもなってくださいよ。
長編作家というのは難しい。
いつもこの、幕引きに不満が残る。
船戸与一にも不満はあるが、不満の度合いは宮部の方が上だった。

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