夜の公園、か

akrh2009-10-30

川上弘美『夜の公園』読了。
解説に言うところでは、川上弘美は恋愛小説の妙手というか、恋愛小説家であると言わんばかりで。
センセイの鞄』が恋愛小説であるというのは今となってはそう思うしかないが、その他に恋愛小説ってあったっけと思うほど、恋愛小説家としてのイメージが僕にはないのであった。川上弘美にしては珍しい、官能恋愛ロマンだなあと思ったりしたのである。
いつも不思議な味わいというのが先行して、恋愛感情とか男女関係が読む者に迫ってくることはない(のではないかな)。
それはそれとして、『夜の公園』である。官能恋愛ロマンではあるものの、川上弘美であるからして、そこは無色透明に近い。他の小説家なら必ずや醸し出してしまうに違いないドロドロ感はない。そして、若い男のセリフははたして陳腐であった。
昔のことだけど、夜の公園で、猫の集会を見たことがある。
猫が集会を開くのか、と問わないでほしい。猫は集会を開くのだ。検索してみて下さい。けっこうあるよ。
演壇の一匹と、十数匹が扇状に対面する布陣で、猫の集会は執り行われていた。僕が通りかかり、おーと思って立ち止まると、猫たちはいっせいに振り向くのだが、解散して四散したりはしない。僕が立ち去ったあとも集会は粛々と執り行われたに違いない。
猫が集会を開くほどの議題とは何なのか。
それを知りたい。