ウルリッヒ・ミューエ再び

akrh2009-10-20

この度、図書館で「スパイ・ゾルゲ」(篠田正浩監督)を借りて観たところ、ミョーに気になるドイツ人役がいて、最後のクレジットで声をあげそうになった。
ウルリッヒ・ミューエ。またお前か。
このドイツの俳優が死んだときに反応してはてなダイアリーに書いたのは07年7月のことだったらしい。僕の場合、日付は必ずしも現実とシンクロしていないので意味はないが、さすがに命日より遡って死人に仕立てるようなことはない。
善き人のためのソナタ」を観て、死亡記事を見て、そして日本映画にも出ていたとことを死後2年経って発見したわけである。こんなにウルリッヒ・ミューエに反応する日本人も少ないのではないかな。
映画自体はスキがなく、抑えて作り込まれていて、3時間という長さを5分の3ぐらいにすればもっと良かったと思う。長かろうと短かろうと伝わるメッセージは同じだが、この映画、たいしてメッセージがない。スキがなく、抑えて作り込んであることに好感が持てる以上には好きにはならない。米国のシーンでは「星条旗よ永遠なれ」、ロシアでは「インターナショナル」、ドイツも国歌、菊の紋章に軍艦マーチが鳴るのでは、この大監督の映画の文法というものの御里が知れるというものである。
尾崎秀實を演じた本木雅弘も悪くなかったけど、ウルリッヒ・ミューエ(ゾルゲを演ったのではない)、なかなか良かったよ。「善き人のためのソナタ」では東独シュタージ(秘密警察)、今回はナチの独大使。全体主義の世に生きる、弱点をもった人、というのをやらせれば上手かった、のかも。