「アッシュアンドスノー」観た

akrh2007-05-27

お台場のノマディック美術館で、グレゴリー・コルベールのエキジビジョン「アッシュ アンド スノー」観た。
1900円の入場料を払う人たちが列をなし、場内も結構混んでいた。
心を動かされるものもあるにはあったが、作品の感想は僕はそれなりにネガティブ。作り込み過ぎではないかと思ったのだ。
獣と、それとともにあるアジアやアフリカの人を写した写真、そして映像なのであるが、ひとことで言うと獣にも人にも無理を強いているように感じた。
それを感じる人は少ないのかも知れない。せいぜい不自然と言いうる程度かも。圧倒的多数は、動物と人間との共生というメッセージを受け取ったに違いないのだ。
その不自然さを痛烈に感じたのは、映像のパートでハイエナとダンサーが「コラボレート」するシーン。目を凝らすと後ろの方でハイエナは何かをむさぼり喰っていて、手前でその喰っているものを隠すようにダンサーが激しく、しかしフレームからはみ出さないように踊っているのである。ダンサーに噛み付かないようにハイエナには何か与えられているに違いなく、それはバナナとかおにぎりの類いでないのは理解できる。
旅するカメラが陥る文化人類学的視点というキーワードを、ここでもまた思い起こさせられた、というべきだろうか。それとモーレツな商業主義も。
このためだけにお台場に作られた、廃コンテナを利用した巨大建築、和紙にプリントされた作品、自然素材で染色された紙で作った写真集、どれも志の高さを説明するにはあまりにも能弁である。だからこそ、ROLEX社も、作品を見る前からスポンサーについているのであり、コルベールは10年間、作品を発表することがないまま作品作りに専念できたのである。とにかくたくさんの人が来て行列して入り、高いミュージアムグッズが飛ぶように売れていた。
以上のようなことは観なければわからなかった。来て良かった。
さて、この、
お台場というところはちょっと風変わりなところだ。当地(美術館ではない。お台場である)に来ている人たちがほかとはちょっと違うのではないかと思う。この日の帰りに川崎のラゾーナという巨大ショッピングモールに立ち寄って、お台場の変テコぶりがよくわかった。お台場はひとことで言うと子どもっぽいし、うなるほど品がない。確かめたいなら行ってごらんなさい、お台場ヴィーナスフォート。あなたをアナザーワールドにお連れ致します。
川崎がいつの間にか発展したということなのか、お台場が日本というムラの縮図であってうっかりそれに触れてしまったのか。
それは、謎だ。