そろそろ川上弘美にも飽きてきたり

akrh2006-05-29

代わり映えしない読書生活。
藤沢周平『風の果て』→川上弘美『蛇を踏む』→藤沢『用心棒日月抄』→川上『神様』→トルーマン・カポーティ『冷血』。その間に何かあったかもしれないが、忘れた。
川上弘美は、ほっこり系恋愛ものはともかく不条理系ファンタジーものに関してはもう満腹と言っていい。すべて原点は『椰子・椰子』にあるので、『蛇を踏む』の蛇でも『神様』のくまでも、え、また? という読み始め感を拭えない。
藤沢周平藤沢周平で『暗殺の年輪』で見せたような暗い情念が、ある時期から痛快娯楽作志向に転じていて、これまたもの足りないのだよ。
そこで晴天の霹靂、T.C.というわけだ。
翻訳は文体がドライでいい。「驚くべき提供」なんて、日本の小説ではお目にかかれない語句に出会うとメモしたくなるほどだ。原文は何だったのだろうと気になるが、まあいっときのことだ。
新しい書き手よ、出でよ、という前にもっと濫読しなくちゃね。