チャンドラー読み終わりました

akrh2007-04-27

『ロング・グットバイ』だけじゃありませんよ。
一気に『さらば愛しき女よ』まで読み倒したんですよ。
文庫化されたのは70年代のはじめだが、ダウンタウンを下街といったり、訳が堅いのが意外と心地よかったりもする。「接吻」には笑ったけど。
70年代といわず、60年代だって接吻などという言葉を耳にすることはなかったに違いない。訳者って勉強が必要だね。
ミステリーであるからには、死体はそれなりに登場するし、痛そうな暴力はふるったりふるわれたりするのだが、小説全体から漂う雰囲気は、限りなく低刺激である。
つまり、東京の満員電車に揺られる方が、断然ハードボイルドだし、圧倒的に暴力的だ。1930年代のロスアンゼルスの、スローな田舎っぽさは安楽である。
しかし出版界のこのところの、タレントが母のことを書いて読者を泣かせたり癒したりするという触れ込みでベストセラーに仕立てるブームは、どうにかならないか。
ならないだろうなあ。