「善き人のためのソナタ」観た

akrh2007-03-16

西口の東芝跡にラゾーナという大モールができたおかげで、川崎の東口というところは、ついに復活のチャンスを失った。
とにかくガラが悪くてどうしようもなかったところに、地下街やホテル日航とかいろいろ建てれば何とかなるだろうという例の箱モノ行政ではあったのだが、結局のところ、人は人が集まる場所に集まる。
ハコだけ作ってソフトなしでは、仏作って魂入れずだ。
東口はしたがって、いまだにドラッギーな雰囲気がふんぷんと漂っているわけである。
チネチッタという、最高の名前をつけた映画館も、そういうわけでたいそう閑散とした一角にある。
正確にいうと、イクスピアリをB級にしたような場所の一角にある。閑散とした観光地ほど無気味な場所も、またとない。
でも嬉しい。ネットで席まで予約できるのである。東京の映画館にそれができないはずがないが、東京ではまだ行列による神話作りが流行っているのである。
善き人のためのソナタ」。
シュタージ(東独秘密警察)の大尉が、盗聴を続けるうちに芸術家のピュアな精神に触れて、いつしか彼をかばうようになる物語。
ヒステリックな描き方でないのが救いである。そこはかとなく、感動。
しかし、帰途、餃子とビールで飲食しているうちに考えてしまう。
大尉のマインド・コントロールが解ける音が、僕には聞こえなかったことに気づいたのである。
いろいろと考えさせられる。もちろん、ところでキューバはどうだ、という問いは常に自分に向けられているのでね。
主人公の東独出身のウルリッヒ・ミューエが、何年にもわたって実は妻に監視されていたとパンフに記述があるのを見たのが本日最大の恐怖だったかな。