悪訳紹介

akrh2006-09-30

デヴィッド・フィッシャー著『証拠は語る FBI犯罪科学研究所のすべて』を読んでいるが、苦戦中。
訳が悪いと思う。
赤ん坊が薬物を盛られた捜査で義母と看護婦が疑われていながら、最後に「この女から赤ん坊を引き離し」などという表現が出てくると、わかったようなわかっていないような、微妙にむずかゆいまま章を終えてしまう。
そうすると次の章に移っても、「さっきの、義母だとは思うけど、看護婦だって引き離されることはあるだろう」などとわだかまりが去らない。
わだかまりは疑念となり、疑念は観念となって、そう、苦戦させるのである。
ミステリーは悪訳がまかり通る業界らしく、それはそれで残念なことである。
翻訳業界の価格破壊が進行中と聞く。
誤訳や悪訳の頻発には、必ずやそんなところに原因があるのだろうと推察する。