「ミュンヘン」観た

akrh2006-02-24

満席だった。
僕の観る映画はいつもそれなりに空席が目立ち、なおかつ平均年齢が高いことが多いのだが、今回はそのどちらもいつもとは逆。ミュンヘン五輪のときすでに生まれていた人がどれくらいいるか…。
僕は時代考証なども含めてきちっと作られた映画を一応はリスペクトする立場なので、この映画はOKだった。中味もしっかり作られていると思う。
テーマは、逆テロルの下手人の苦悩。
パレスチナからもイスラエルからも不評だったらしいが、この映画は政治的作品ではない。政治的事件さえもエンターテインメント化してしまうスピルバーグ作品である。登場人物ひとりひとりにだって、ドラマがあっていいではないか。
しかし一番笑えたのが、アテネのアジトでモサドPLOが鉢合わせして両派ピストルを構えながら、自分達を「PLOだ」「ETAだ」と名乗りあうシーン。モサドはとっさにスペイン・バスク地方の過激派の名を言ったんだけど、地下行動をとる者が第一声で組織名(なりすましだとしても)を名乗るなんてありえるかね。この辺が米国人の緊張感のなさというか想像力の欠如なのである。
ジャッカルの日」で執念深く暗殺者を追い詰める刑事を演じていたミシェル・ロンズデールと、マチュー・アマルリックは良かった。アマルリックがそこにいるだけで、映画の空気が変わるほどだと僕は思ったがどうか。
小さくまとまった大作で、いつまでも思い返すことはないだろうが、いい映画だった。