おそろしい話を聞いた

akrh2005-05-28

活字の仕事に携わっている者のひとりとして、いや、活字でも映像でも何でもだけど、やはり大衆様というのが気になる。
昨今、業界で話題になるのは「活字知らず」の層にウケて「活字好き」の層から嫌悪される出版物であったりする。「活字好き」にウケてもヒットには繋がらないが、「活字知らず」の方は何十万部というヒットが可能だ。
映画でもそうでしょう。映画ファンが酷評するアイドル映画に、本心から涙する層がいるはずだ。
ここは一丁、売れるために魂を大衆に売ろう、と腹をくくれるかどうかがポイントになるかというとそうではない。「活字知らず」の出版物は「活字知らず」が書いているのであって、自覚した知識人が大衆迎合にジャンプした形跡などまったくないのである。したがってストレスも何もないのである。
さて、
この度、耳にしたおそろしい話は、ほとんど小説として成立していないとネットで酷評された作品(「協力出版」の文芸社刊。amazonでの評価は300件超!)がそのために逆にじわじわと売れ、30万部を突破し、幻冬舎で文庫化されたという話。著者は量産体制に入って今や角川ほかでひっぱりだことなり、映画化されたものもあるという。
何を今さらと呆れられそうだが、真面目に活字と正対していると挫折してしまいそうになる話ではある。