泣いている自分を撮れるのか?

akrh2005-05-27

『たまもの』(写真/神蔵美子)を久しぶりに見た(最近はちょっと前に読んだり見たりしたものばかり再読している)。
末井昭坪内祐三というふたりのユニークな男の間を揺れたひとりの写真家の独白的写真集である。
何よりすごいのが、表紙のセルフポートレート
神蔵は泣いている自分に気づいて、「あっ、写真撮らなきゃ」と思う。
そして自分に向けてカメラをセッティングし、二回以上シャッターを切るのである。
そこまでできるだろうか。
一回シャッターを切り、さてもう一回という間、泣き続けることができるのだろうか。
でも彼女は泣き続けた。
悲しくて泣くときに写真を撮れるものなのか。
写真家としてプロなのか、それともモデルとしてプロなのか。
不思議な写真であると思う。